仮想マシンを増やしても大丈夫?|資源配分・RAID・I/O
仮想マシンを作れるなら、物理サーバの限界もなくなるのでしょうか。管理上の台数は増えても、CPUやメモリの実物は共有します。ディスクも、合計容量だけでは障害時に使えるか分かりません。具体的な配分と故障の組合せで見てみます。
事例:32GiBのホストに、3台の仮想マシンを置く
ホストのメモリは32GiBで、ホスト自身と管理処理のために4GiBを確保します。仮想マシンA・B・Cへ8GiB・12GiB・12GiBを確実に使わせたいとします。物理CPUは8コアです。
保存領域には同容量2TBのディスク4台があります。容量を最大にする構成と、ディスク故障後も継続する構成を比較します。GiBは2³⁰B、ここでのTBは10¹²Bです。
- 1. 資源を管理
- 2. 配分
- 3. 配分
- 4. 配分
仮想化は資源を分ける仕組みです。合計の物理資源と管理用の余裕を確認します。
割当量の合計が、物理容量より大きいと?
仮想マシンに確保できるのは32-4=28GiBです。要求の合計は8+12+12=32GiBなので、全台が同時に要求量を使う前提では4GiB足りません。余裕を見て配置を分けるか、必要量を見直します。
製品によっては物理量を超えて割り当てるオーバーコミットが可能です。ただし、設定できることと、ピーク時に保証できることは別です。回収やスワップが動くと遅くなる可能性があり、実際の使用量と保証条件を確認します。
- 割当
仮想マシンに見せる量や上限です。製品の設定によって、予約された実物の量と一致しない場合があります。
- 使用量
その時点で実際に必要な量です。平均だけでなく同時ピーク、起動時、障害時を確認します。
- 余裕
ホスト管理、移動、急増などに備える量です。目的と要求に合わせて確保します。
1台のホストで全台を運用すると、そのホストの障害が全台に影響します。別ホストへ移す設計でも、移動先に必要な余裕がなければ復旧できません。単なる通常時の合計で終わらせないことが重要です。
16vCPUは、物理16コアと同じ?
8物理コアのホストに合計16vCPUを割り当てても、物理コアが16へ増えるわけではありません。実行時間を共有するため、負荷が重なると実行待ちが増えます。コア数、同時マルチスレッディング、CPU性能を区別します。
仮想CPU数だけで性能を保証しません。待ち時間、CPUの使用率、処理量を対象の負荷で測定します。VMには通常ゲストOSがあり、コンテナは通常ホストのカーネルを共有するため、分離の前提も異なります。
4台のディスクで、何TB使える?
同容量ディスクを使い、予備ディスクやファイルシステム等の領域を引く前の容量を比較します。RAID 0は分散、RAID 1は複製、RAID 5・6は分散したパリティ、RAID 10はミラーの組を分散して使います。
方式 | この例の使用可能容量 | ディスク故障への基本条件 |
|---|---|---|
RAID 0・4台 | 4×2=8TB | 冗長性なし。1台故障でもデータを失い得る |
RAID 5・4台 | (4-1)×2=6TB | 1台の故障に耐える |
RAID 6・4台 | (4-2)×2=4TB | 任意の2台の故障に耐える |
RAID 10・4台 | 4÷2×2=4TB | 各ミラー組に1台以上残る必要がある |
RAID 1・2台 | 2TB | 複製を1組作り、1台の故障に耐える |
RAID 5のパリティは専用の1台に固定されるという意味ではありません。容量計算で1台分を差し引きます。RAID 6も2台分のパリティを分散して持ちます。実際の利用可能領域は管理用の領域などにより小さくなります。
RAID 10なら、2台故障しても大丈夫?
ミラーをディスク0・1と、2・3で組むとします。0と2の故障なら、各組に1と3が残り、アクセスを続けられます。一方、0と1の故障では一つの組の両方が失われ、全体を使えなくなります。
4台のRAID 10で、ミラー組を0・1と2・3に固定した条件です。
RAID 10は、任意の2台故障に耐える方式ではありません。容量が同じでもRAID 6と故障条件は異なります。読書きの負荷、パリティ計算、製品の実装も合わせて比較します。
再構築中の負荷と、バックアップを忘れていない?
2TB分を100MB/sで再構築するなら、2,000,000MB÷100=20,000秒、5時間33分20秒です。一定の実効速度で処理する計算で、通常のI/Oと競合すればさらに延びることがあります。
故障後は保護が弱くなり、再構築中は他のディスクにも負荷がかかります。故障の検知、交換手順、予備ディスク、業務中の速度と復旧までの状態を確認します。
RAIDはバックアップの代わりになりません。誤削除や不正な更新は複製側にも反映されます。別時点へ戻すバックアップと、復元の確認を別に用意します。
空き容量はあるのに、なぜ遅い?
容量は保存できる量、IOPSは毎秒の入出力回数、MB/sは毎秒の転送量です。小さいランダムアクセスが多いDBと、大きい連続アクセスの動画では、必要な能力が違います。平均応答と遅い側の分布も確認します。
複数VMのI/Oが同じ装置へ集中すると、各VMのCPUが空いていても処理は待ちます。CPU・メモリ・ストレージ・ネットワークを別々に測り、詰まる資源に対して対処します。
演習1:メモリの不足
条件:物理32GiB、管理用4GiB、VMの要求8・12・12GiBです。
問い:全量保証に足りない量を答えてください。
解答例:4GiB不足です。
根拠:使える28GiBに対して32GiBを要求しています。
誤答の理由:管理用を差し引かず合計だけ見ると、ホストが使う資源を落とします。
演習2:仮想CPU
条件:物理8コアに合計16vCPUを割り当てます。
問い:物理16コアと同じ処理能力を保証できますか。
解答例:保証できません。共有による待ちと対象の負荷を測定します。
根拠:割り当てた論理的な数で、物理コアが増えるわけではありません。
誤答の理由:vCPU数を単純に足して処理能力とすると、競合を見落とします。
演習3:8台の容量
条件:同容量2TBのディスク8台。予備と管理領域は除外します。
問い:RAID 6とRAID 10の容量を答えてください。
解答例:RAID 6は12TB、RAID 10は8TBです。
根拠:(8-2)×2と8÷2×2です。
誤答の理由:RAID 6の保護分をディスクの半分とすると、ミラー方式と混同しています。
演習4:ミラーの故障
条件:RAID 10のミラー組は0・1と2・3です。
問い:0・2故障と0・1故障の結果を答えてください。
解答例:0・2なら各組に1台残ります。0・1なら一つの組が失われ、継続できません。
根拠:同じ2台故障でも、失われる複製の組合せが違います。
誤答の理由:2台までなら必ず大丈夫という判断は、RAID 6の条件と取り違えています。
演習5:再構築の時間
条件:2TBを100MB/sで、速度一定とします。
問い:再構築時間を計算してください。
解答例:20,000秒、5時間33分20秒です。
根拠:2,000,000MB÷100MB/sです。
誤答の理由:TBからMBへの変換を一段落とすと、1000分の1の時間になります。
演習6:誤削除への対策
条件:冗長化された保存領域で、必要なファイルを削除しました。
問い:RAIDだけで削除前へ戻せますか。
解答例:通常は戻せません。別時点を保持するバックアップ等から復元します。
根拠:冗長化は削除操作も反映します。
誤答の理由:複製があるから古い状態も必ず残るとすると、故障対策と履歴保全を混同しています。
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