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EVM(アーンドバリューマネジメント)による進捗・コスト予実分析

公開: 2026-10-03
PV・EV・ACの3大基本量、SPI・CPIによる進捗・コスト効率診断、完成時総コスト(EAC)予測式の導出、見かけの予算進捗に潜む危機の看破と経営層エスカレーション実務。

プロジェクトの進捗を測る際、「予定工数100人日のうち80人日を消費したから、進捗率は80%である」と判断するのは致命的な誤りです。実際には「80人日使ったが、成果物は予定の40%しかできていない(深刻な赤字・大遅延)」という事態が現場では日常茶飯事に発生します。

進捗(スケジュール)と費用(コスト)を単一の通貨・金額単位に統合し、客観的な出来高によってプロジェクトの健全性を診断・予測する国際標準手法が、「EVM(Earned Value Management:アーンドバリューマネジメント)」です。

1. EVMの3大基本量と計算公式集

指標

略称

名称

意味と計算方法

Planned Value

PV

計画値

特定日までに完了する予定であった作業の予算額(計画ベースライン)

Earned Value

EV

出来高

特定日までに実際に完成した作業の予算額(成果物の価値)

Actual Cost

AC

実コスト

特定日までに完了した作業のために実際に費やした総費用

Schedule Variance

SV

スケジュール差異

SV = EV - PV (正なら進捗前倒し、負なら進捗遅延)

Cost Variance

CV

コスト差異

CV = EV - AC (正なら予算内・コスト節約、負なら予算超過)

Schedule Performance Index

SPI

進捗効率指数

SPI = EV / PV (1.0超で良好、1.0未満で遅延)

Cost Performance Index

CPI

コスト効率指数

CPI = EV / AC (1.0超で高効率、1.0未満で採算悪化)

2. 完成時総コスト(EAC)の将来予測シミュレーション

プロジェクトの総予算を BAC(Budget at Completion)としたとき、現在の傾向が今後も継続した場合の完成時総コスト EAC(Estimate at Completion)は以下の式で予測されます。

text
EAC = BAC / CPI

また、完成時のコスト超過額 VAC(Variance at Completion)は VAC = BAC - EAC で求められます。CPIが0.8の場合、総予算の1.25倍の費用がかかる見込みとなります。

3. 【実戦記述演習 問1】見かけの予算進捗に潜む危機の看破

【シナリオ背景】G社(金融機関)の勘定系サブシステム刷新プロジェクト(総予算 BAC=1億2,000万円、期間12か月)において、第6か月終了時点のEVM評価を実施した。報告された数値は以下の通りである。

text
第6か月終了時点のEVM実績:
・総予算(BAC):1億2,000万円
・計画値(PV):6,000万円(全体の50%終了予定)
・実コスト(AC):6,000万円(計画通りの支出)
・出来高(EV):4,800万円(完了作業の価値)

プロジェクト推進リーダーは「実コストACは計画値PVと同額の6,000万円であり、予算超過は発生していないため順調である」と報告した。

設問1:リーダーの「順調である」という報告が誤りである理由を、進捗状況(SPI)およびコスト効率(CPI)の計算結果を示しながら35字以内で指摘せよ。

【模範解答】

text
SPI=0.8で遅延しており、CPI=0.8で費用超過傾向にあるため。(35字)

解説と採点基準(配点:10点)

  • 計算根拠:SPI = EV/PV = 4,800 / 6,000 = 0.8。CPI = EV/AC = 4,800 / 6,000 = 0.8。

  • 出題意図:ACとPVの一致は見かけの錯覚であり、EVが下回っているため「工期遅延」と「コスト超過(1円の成果に1.25円かかっている)」が同時に起きている二重苦であることを論理的に指摘できるかを問う。

  • 加点キーワード:『SPI=0.8(遅延)』(4点)、『CPI=0.8(費用超過/採算悪化)』(4点)、『出来高不足』(2点)。

  • 減点対象:計算式や数値を書かずに「進捗が遅れているから」とだけ書いた場合は部分点(4点止まり)。

4. 【実戦記述演習 問2】完成時予測に基づく経営層への報告と対策

設問2:このままのペースで推移した場合の完成時総コスト(EAC)を算出した上で、PMが経営層に対して直ちに行うべき報告内容を40字以内で述べよ。

【模範解答】

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総コストが1億5千万円に膨張する見込みを報告し、追加予算承認を要請する。(36字)

解説と採点基準(配点:10点)

  • 計算根拠:EAC = BAC / CPI = 1億2,000万円 / 0.8 = 1億5,000万円(3,000万円の超過)。

  • 出題意図:PMとして現実の予測数値を迅速に試算し、隠蔽することなく経営層にエスカレーションして予算措置・スコープ見直しの意思決定を仰げるかを問う。

  • 加点キーワード:『1億5千万円(3,000万円超過)の予測報告』(5点)、『経営層へのエスカレーション(追加予算要請またはスコープ見直し)』(5点)。

  • 減点対象:EACの数値を間違えている場合はマイナス4点。

5. まとめ:EVM活用のチェックリスト

  • □ 「作業時間」「消化工数」ではなく、完成した「成果物」の客観的基準(0/100法、50/50法など)でEVを計上しているか?

  • □ EVMの数値を月次だけでなく週次でモニタリングし、SPI/CPIの急落を早期検知しているか?

  • □ EACがBACをオーバーした際、デスコープによる回復が可能か経営層と合意しているか?

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編集・検証について

編集・検証:IT資格ラボ編集部

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