OSPFにおけるコスト設計と最適経路制御

OSPF(Open Shortest Path First)では、宛先ネットワークまでの累積コストが最小となる経路が最適経路として選択されます。拠点1〜拠点3間(WAN1通過)および拠点2〜拠点3間(WAN2通過)のそれぞれの通信要件から、コスト $x$ と $y$ が満たすべき不等式条件を導出します。 【拠点1と拠点3の間の通信(WAN1通過の条件)】:ルータ a(拠点1)からルータ i(拠点3)へ向かう経路には、WAN1を経由するルートとWAN2を経由するルートがあります。 ・WAN1経由:ルータ a $\to$ b (コスト30) $\to$ WAN1 (100) $\to$ e $\to$ h (30) $\to$ i (10) と進むのが最小コスト経路です(ルータ e から i へは、e $\to$ f $\to$ i のコスト50に対し、e $\to$ h $\to$ i はコスト40となるため後者が選ばれます)。このときの累積コストは、$30 + 100 + 30 + 10 = 170$ です。 ・WAN2経由:ルータ a $\to$ d (コスト40) $\to$ WAN2 (100) $\to$ g と進み、ルータ g から i へは f経由($x + 10$)または h経由($y + 10$)となります。ルータ g から i への最小コストは $\min(x + 10, y + 10) = \min(x, y) + 10$ です。このときの累積コストは、$40 + 100 + \min(x, y) + 10 = 150 + \min(x, y)$ です。 拠点1〜拠点3間で WAN1 経由が選ばれるためには、(WAN1経由コスト) < (WAN2経由コスト) である必要があるため、$170 < 150 + \min(x, y)$、すなわち $\min(x, y) > 20$ が導かれます。 【拠点2と拠点3の間の通信(WAN2通過の条件)】:ルータ c(拠点2)からルータ i(拠点3)へ向かう経路には、WAN2を経由するルートとWAN1を経由するルートがあります。 ・WAN2経由:ルータ c $\to$ d (コスト40) $\to$ WAN2 (100) $\to$ g と進み、ルータ g から i へ向かいます。このときの累積コストは、$40 + 100 + \min(x, y) + 10 = 150 + \min(x, y)$ です。 ・WAN1経由:ルータ c $\to$ b (コスト50) $\to$ WAN1 (100) $\to$ e $\to$ h (30) $\to$ i (10) と進みます。このときの累積コストは、$50 + 100 + 30 + 10 = 190$ です。 拠点2〜拠点3間で WAN2 経由が選ばれるためには、(WAN2経由コスト) < (WAN1経由コスト) である必要があるため、$150 + \min(x, y) < 190$、すなわち $\min(x, y) < 40$ が導かれます。 【不等式条件の統合と選択肢の照合】:2つの条件を合わせると、$20 < \min(x, y) < 40$ を満たす必要があります。選択肢はいずれも $x = y$ と設定されているため、$\min(x, y) = x = y$ となり、$20 < x < 40$(かつ $20 < y < 40$)を満たす組合せを選びます。 ・ア($x=20, y=20$):$\min(x, y) = 20$ となり、$20 < 20$ を満たしません(拠点1〜3間で WAN1経由170、WAN2経由170 と同等になりWAN1固定通過にならない)。 ・イ($x=30, y=30$):$\min(x, y) = 30$ であり、$20 < 30 < 40$ を満たします(拠点1〜3間:WAN1経由170 < WAN2経由180、拠点2〜3間:WAN2経由180 < WAN1経由190 となり両要件を満たす)。 ・ウ($x=40, y=40$):$\min(x, y) = 40$ となり、$40 < 40$ を満たしません(拠点2〜3間で WAN2経由190、WAN1経由190 と同等になりWAN2固定通過にならない)。 ・エ($x=50, y=50$):$\min(x, y) = 50$ となり、$50 < 40$ を満たしません(拠点2〜3間で WAN2経由200 > WAN1経由190 となりWAN1が選ばれてしまう)。 したがって、適切な組合せは「イ」となります。

図は,OSPF を使用するルータ a 〜 i のネットワーク構成を示す。拠点 1 と拠点 3 の間の通信は WAN1 を,拠点 2 と拠点 3 の間の通信は WAN2 を通過するようにしたい。x と y に設定するコストとして,適切な組合せはどれか。ここで,図中の数字は OSPF コストを示す。

OSPFネットワーク構成図
出典令和元年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ

x

y

ア

20

20

イ

30

30

ウ

40

40

エ

50

50