秘密情報保持に関する就業規則と個別合意(労働法)

企業の秘密情報保護と労働基準法・労働契約法に関する問題である。 就業規則に一般的な秘密漏洩禁止規定が定められている場合でも,秘密情報の定義が抽象的であると実効性に欠けるため,秘密情報を取り扱う担当従業員の職務内容に応じて,保護すべき秘密情報の対象や管理手順を具体的に特定した個別合意(秘密保持誓約書・特約など)を締結することは極めて適切かつ有効な行為である。 イ: 労働基準法第90条により,使用者が就業規則を作成・変更する際には,労働者の過半数を代表する労働組合(ない場合は労働者の過半数を代表する者)の意見を聴かなければならない。意見を聴かずに規定を追加・変更することは違法である。 ウ: 労働基準法第93条および労働契約法第12条により,就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は,その部分について無効となる。就業規則の基準よりも従業員に重い懲戒処分を個別合意で定めても無効となる。 エ: 従業員を懲戒処分するためには,就業規則にあらかじめ制裁の種別及び程度を記載しておく必要がある(労働基準法第89条第9号)。就業規則に記載してはいけないという法規定はなく,誤りである。

常時10名以上の従業員を有するソフトウェア開発会社が,社内の情報セキュリティ管理を強化するために,秘密情報を扱う担当従業員の扱いを見直すこととした。労働法に照らし,適切な行為はどれか。

出典令和3年度 秋期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問21
就業規則に業務上知り得た秘密の漏えい禁止の一般的な規定があるときに,担当従業員の職務に即して秘密の内容を特定する個別合意を行う。
就業規則には業務上知り得た秘密の漏えい禁止の規定がないときに,漏えい禁止と処分の規定を従業員の意見を聴かずに就業規則に追加する。
情報セキュリティ事故を起こした場合の懲戒処分について,担当従業員との間で就業規則の規定よりも重くした個別合意を行う。
情報セキュリティに関連する規定は就業規則に記載してはいけないので,就業規則に規定を設けずに,各従業員と個別合意を行う。