アムダールの法則における並列化限界と逐次処理部による性能上限

アムダールの法則(Amdahl's law)において、プロセッサ数 $N$ を無限大($N \to \infty$)に増やした極限を考えます。 並列化可能部の割合が $P = 0.5$ のとき、逐次処理部の割合は $1 - P = 0.5$ です。プロセッサ数 $N$ をいくら大きくしても、並列化可能な部分の所要時間は $0$ に近づくだけで、逐次処理部の $0.5$ は短縮できません。 $$\lim_{N \to \infty} \text{性能向上比} = \frac{1}{(1 - 0.5) + \frac{0.5}{N}} = \frac{1}{0.5 + 0} = \frac{1}{0.5} = 2$$ したがって、 プロセッサ数をいくら増やしても性能向上比が 2 を超えることは絶対にありません 。したがって、正解は ウ です。 ア: 式の分母に $P$ が含まれているため、性能向上比は $P$ に単純に比例する(線形関数となる)わけではありません。 イ: 並列化可能部の割合が増加するほど性能向上比は向上するため、反比例する関係ではありません。 エ: プロセッサ数 $N$ が非常に大きくなると、逐次処理部(0.1)による頭打ち(最大10倍)が生じるため、プロセッサ数の半分以上を維持し続けることはできません。

マルチプロセッサによる並列処理において,1プロセッサのときに対する性能向上比はアムダールの法則で説明することができる。性能向上比に関する記述のうち,適切なものはどれか。 〔アムダールの法則〕 性能向上比=1(1−P)+PN\text{性能向上比} = \frac{1}{(1 - P) + \frac{P}{N}} ここで,PP は並列化可能部の割合,NN はプロセッサ数を表す。

出典令和4年度 秋期 エンベデッドシステムスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問7
ア
プロセッサ数が一定の場合,性能向上比は並列化可能部の割合に比例する。
イ
プロセッサ数を増やした場合,性能向上比は並列化可能部の割合に反比例する。
ウ
並列化可能部の割合が 0.5 の場合は,プロセッサ数をいくら増やしても性能向上比が 2 を超えることはない。
エ
並列化可能部の割合が最低 0.9 以上であれば,性能向上比はプロセッサ数の半分以上の値となる。