SaaS直接接続に伴うセキュリティ対策

■ 解き方の方針 設定変更によって新しく増えるリスクを特定し、そのリスクを直接下げる対策を選びます。ここで問題になっているのは、通信速度や端末への保存ではなく、 クラウドサービスへの不正アクセス です。 ■ 設定変更の前後 変更前: クラウドサービスへのログイン元をA社の社内ネットワークに限定しています。IDとパスワードが漏れても、社外からは接続しにくい構成です。 変更後: テレワーク端末から社内ネットワークを介さず直接接続します。社外からログインできるようになるため、IDとパスワードだけに依存する認証のリスクが高まります。 ■ 必要な対策 パスワードに加えて別の要素でも本人確認を行う2要素認証を導入すれば、パスワードが漏えいしても、それだけではログインできません。増加した不正アクセスのリスクに直接対応できます。 ■ 正解と誤答の見分け方 ア: 社内ネットワーク側の通信監視だけでは、社外からの直接接続に対する認証を強化できません。 イ: 通信速度の制限は不正ログイン対策ではありません。 エ: 対象をグループウェアだけにしても、そのサービスへの不正アクセスリスクは残ります。 オ: 保存禁止機能を無効にすると、私有PCへの情報保存による漏えいリスクを高めます。 したがって、正解は ウ です。

A社は従業員 450名の商社であり、昨年から働き方改革の一環として、在宅でのテレワークを推進している。A社のシステム環境を抜粋して示す。

  • 従業員には,一人に1台デスクトップPC(以下,社内PCという)を貸与している。

  • 従業員が利用するシステムには、自社で開発し A社に設置している業務システムのほかに、メール機能・チャット機能等をもつグループウェアやオンライン会議サービスなどのSaaS (以下、A社利用クラウドサービスという)がある。
    1. メール機能,チャット機能及びクラウドストレージ機能をもつグループウェア (以下,A社利用グループウェアという)
    2. オンライン会議サービス

  • テレワークでは、従業員の個人所有 PC (以下,私有PCという)の業務利用 (BYOD)を許可している。

  • テレワークでは、社内PC及び私有PCのそれぞれに専用のアプリケーションソフトウェアを導入し、社内PCのデスクトップから私有PCに画面転送を行うリモートデスクトップ方式を採用している。

  • 専用アプリには,リモートデスクトップから PC へのファイルのダウンロード及びファ イル,文字列,画像などのコピー&ペーストを禁止する機能(以下,保存禁止機能とい う)があり,A社では私有PCに対して当該機能を有効にしている。

  • 業務システムには,社内PCのデスクトップから利用者ID及びパスワードを入力してロ グインしている。

  • A社利用クラウドサービスへのログインは、A社利用クラウドサービス側の設定によってA社の社内ネットワークからだけ可能になるように制限している。ログインには利用者ID及びパスワードを用いている。

図1 A社のシステム環境(抜粋)

テレワークの定着が進むにつれて、社内 PC からインターネットへの接続が極端に遅くなり、業務に支障をきたしているので改善できないかと従業員から問合せがあった。そのため、情報システム部では、テレワークでA社利用クラウドサービスに接続する場合には、A社の社内ネットワークも社内 PC も介さずに直接接続することを可能にするネットワークの設定変更を実施することにした。

設定変更に当たり、情報セキュリティ上の問題がないかを検討したところ、幾つか問題があることが分かった。その一つは、A社利用クラウドサービスへの不正アクセスのリスクが増加することである。そこで、リスクを低減するために、情報システム部に対策を依頼することにした。

設問 次の対策のうち、情報システム部に依頼することにしたものはどれか。解答群のうち、最も適切なものを選べ。

出典令和6年度 公開問題 基本情報技術者試験 科目B 問6
ア
A社の社内ネットワークからA社利用クラウドサービスへの通信を監視する。
イ
A社の社内ネットワークとA社利用クラウドサービスとの間の通信速度を制限する。
ウ
A社利用クラウドサービスにA社外から接続する際の認証に2要素認証を導入する。
エ
A社利用クラウドサービスのうち、A社利用グループウェアだけを直接接続の対象とする。
オ
専用アプリの保存禁止機能を無効にする。