バックアップ媒体の冗長化

営業部の顧客情報データベースにおける「論理破損」と「バックアップ媒体の物理破損」の重複障害に対する対策を検討する問題です。 〔インシデントの分析〕 本問では,(1) アプリケーション不具合によって水曜日に「データの論理的破損」が発生し,(2) 金曜日に気付いて直近(木曜日)のバックアップテープから復旧しようとしたところ,磁気テープの「物理的な読取りエラー」が発生したため,やむを得ず火曜日のテープまで巻き戻して復元した結果,水曜日以降の更新データが消失しました。 〔対策の検討〕 論理破損から直近の健全な状態へ復旧するためには過去の世代データが不可欠であり,かつテープメディアの物理破損に備えるには,バックアップ媒体そのものを二重化(異種媒体での冗長化)する必要があります。テープメディアに加えて「NAS(ネットワークストレージ)にも同じ1週間分のバックアップを保持」しておけば,木曜日のテープが読めなくてもNAS上の木曜日バックアップからデータを復元でき,データ消失を最小限に抑えられます(エが適切)。 IaaSへの移行はインフラ管理の負担を軽減しますが,バックアップ媒体の冗長化や論理破損への直接対策にはなりません。 レプリケーションは本番環境の変更をリアルタイムに複製先へ同期するため,論理破損(不正データや誤った更新)もそのまま瞬時に同期されてしまい,論理破損からの復旧策にはなりません。 RAID5構成はディスク1台の物理障害に対する冗長化技術であり,論理破損やバックアップ媒体自体の読取り障害には効果がありません。 毎日フルバックアップを取得しても,バックアップ先が単一のテープ媒体のままであれば,そのテープが物理破損した際に読み出せない問題は解決しません。

A社は医療品の販売を行う従業員100名の企業である。営業部では,オンプレミスのデータベースに顧客情報を格納している。

営業部では,図1に示すバックアップポリシーを順守している。

図1 営業部におけるバックアップポリシー

項番

営業部におけるバックアップポリシー

1

データベースは毎週日曜日にフルバックアップを,それ以外の日は毎日の増分バックアップを毎日,別のテープメディアに取得する。

2

バックアップは1週間分保存する。

3

データベースの目標復旧時点(RPO)は24時間とする。

4

バックアップからの目標復旧時間(RTO)は6時間とする。

5

バックアップを保存しているテープメディア(以下,バックアップテープという)は鍵付きのキャビネットに保管する。

6

バックアップはシステムを停止せずに取得する。

先日,金曜日に営業部では,アプリケーションの不具合によってデータベースの内部構造の破損(以下,論理破損という)が生じたので,データベースを復旧する必要が生じた。しかし,火曜日のバックアップテープが物理的に破損していたので,データベースをバックアップポリシーどおりには復旧できなかった。

そのため,営業部の情報セキュリティリーダーであるB課長は,論理破損が起き,かつ,バックアップテープが物理的に破損していたとしてもデータベースを復旧できるようにする再発防止策を検討し,効果の高いものを選んだ。

設問 B課長が選んだ再発防止策はどれか。解答群のうち,最も適切なものを選べ。

出典令和6年度 情報セキュリティマネジメント試験 科目B 問14
ア
DBMSをIaaS上に構築したサーバで稼働させ,データベースもIaaS上に格納する。
イ
データベースのレプリケーションを行って,データベースのコピーを確保する。
ウ
データベースを格納しているディスクをRAID5構成にする。
エ
テープメディアに加え,NASにもバックアップを1週間分保存する。
オ
毎日1回システムを停止させ,フルバックアップを取得する。