匿名加工情報の作成手法

個人情報保護法における匿名加工情報の作成手法(特定の個人を識別できず,復元できないように加工する手法)に関する問題です。A社が保険会社へデータを提供するにあたり,表1の項目ごとに適切な加工手法を選択します。  a1  (電子メールアドレス):分析に利用しない項目であり,かつ特定の個人を一意に識別できる情報(連絡先・個人識別情報)であるため,「(一)項目削除」によってデータ集合から完全に削除します。  a2  (勤務先の業種):保険会社が健康傾向を分析するための重要な分析対象項目です。業種区分自体は特定の個人を直接識別するものではなく,十分なサンプル数が存在するため,「加工なし」のまま利用します。  a3  (体重):分析対象項目ですが,極端に大きい値や小さい値(外れ値)は特定の個人を推測・特定(特異値による再識別)される原因となります。そのため,一定の上限値・下限値を設定して置き換える「(三)トップ(ボトム)コーディング」を適用します。さらに,詳細な数値(小数第1位など)から個人が推測されるのを防ぐため,階級分けや丸めを行う「(四)丸め」を併せて適用します。したがって「(三),(四)」となります。 したがって, a1 が(一), a2 が加工なし, a3 が(三),(四)となる組合せは「キ」です。 電子メールアドレスを残しており不適切であり,体重に対する丸め処理も不足しています。 体重の加工は適切ですが,分析に不要で個人を直接識別できる電子メールアドレスを残している点が不適切です。 電子メールアドレスを残し,分析に必要な勤務先の業種や体重を削除してしまっているため目的に合いません。 電子メールアドレスを残し,分析に必要な勤務先の業種を削除してしまっています。 電子メールアドレスを残し,分析対象である勤務先の業種を削除している点が不適切です。 電子メールアドレスの削除と業種の保持は適切ですが,体重に対する丸め処理が不足しています。 全項目を削除してしまうと,提供先の保険会社で必要な分析を行うことができません。 分析に必要な業種を削除してしまっており,体重に対する丸め処理も不足しています。 電子メールアドレスの削除と体重の加工は適切ですが,分析に必要な勤務先の業種を削除してしまっています。

A社は,スマートフォン用ヘルスケア関連アプリケーションソフトウェア(以下,Aアプリという)の開発,販売を行う会社である。Aアプリは,ヘルスケアデータ収集機能によって,利用者の体重や歩数のデータを収集するとともに,アンケート機能によって,勤務先の業種,年収などのデータを収集している。

営業部は,保険会社であるB社と共同のビジネスを検討している。その中で,Aアプリで収集したデータ及び今後収集するデータから匿名加工情報を作成した上で,その匿名加工情報をB社に第三者提供することを検討している。B社では,提供を受けた匿名加工情報を分析して,B社の保険商品のマーケティングに活用しようとしている。分析の対象は,年代,性別,年収区分,住んでいる地域区分及び勤務先の業種と体重及び歩数との関係である。ここで,地域区分とは,北海道,東北,南関東などの区分のことをいう。

加工対象となる“個人情報データベース等”(以下,加工対象情報という)は,表1の顧客属性データと表2のヘルスケアデータの2種類からなり,利用者番号によって関連付けられている。

表1 顧客属性データ

利用者番号

氏名

性別

生年月日

電子メールアドレス

住所

勤務先の業種

年収

114567

情報 一郎

男

1984年4月4日

ichiro@●●●.ne.jp

愛知県名古屋市中区上前津X-X-X

金融業

1,850万

114568

積招 花子

女

2003年3月31日

sekimane@▲▲▲.ne.jp

東京都文京区本駒込X-X-X

小売業

380万

114573

試験 五郎

男

1951年12月9日

shiken@■■■.ne.jp

東京都中央区月島X-X-X

製造業

630万

…

…

…

…

…

…

…

…

表2 ヘルスケアデータ

利用者番号

記録日

体重

歩数

114567

202N年02月11日

121.3

5,321

114568

202N年02月11日

43.5

33,012

114568

202N年02月12日

43.0

12,007

114573

202N年02月12日

63.0

7,604

…

…

…

…

営業部の情報セキュリティリーダーであるC課長は,加工対象情報に含まれる各情報の項目について,適用する匿名加工情報の作成に係る手法(以下,匿名加工情報の作成に係る手法を匿名加工手法という)を表3にまとめた。

表3 匿名加工手法

項番

手法名

解説

(一)

項目削除

加工対象情報に含まれる個人情報の項目を削除すること。例えば,年齢のデータを加工対象情報から削除すること。

(二)

一般化

加工対象情報に含まれる記述などについて,上位概念に置き換えること。例えば,購買履歴のデータで“きゅうり”を“野菜”に置き換えること。

(三)

トップ(ボトム)コーディング

加工対象情報に含まれる数値について,特に大きい又は小さい数値をまとめること。例えば,年齢に関するデータで,“98歳”,“115歳”といった数値データを“80歳以上”というデータにまとめること。

(四)

丸め

加工対象情報に含まれる数値について,四捨五入などして丸めること。例えば,生年月日から“34歳”とされる場合について,“30代”のように年代に置き換えること。

注記 本表は,個人情報保護委員会事務局“仮名加工情報・匿名加工情報 信頼ある個人情報の利活用に向けて―制度編―(第2版)”を基にC課長が作成した。

C課長は,加工対象情報である表1及び表2に示す各データに対して,表3の匿名加工手法を必要に応じて適用し匿名加工情報を作成する案を用意した。その案を法務部のD課長に報告したところ,D課長からは,想定するマーケティング用途にも有効であり,匿名加工手法の適用も適切であるとの回答を得た。

設問 解答群に示した3項目それぞれについて,C課長が適用した匿名加工手法はどれか。表3の手法のうち,適用したものの組合せを,解答群の中から選べ。なお,各項目に対して複数の匿名加工手法を適用しても構わないし,一つも適用せずに“加工なし”としても構わない。

出典令和7年度 情報セキュリティマネジメント試験 科目B 問15

選択肢

電子メールアドレス

勤務先の業種

体重

ア

加工なし

加工なし

(三)

イ

加工なし

加工なし

(三),(四)

ウ

加工なし

(一)

(一)

エ

加工なし

(一)

(三)

オ

加工なし

(一)

(三),(四)

カ

(一)

加工なし

(三)

キ

(一)

加工なし

(三),(四)

ク

(一)

(一)

(一)

ケ

(一)

(一)

(三)

コ

(一)

(一)

(三),(四)