販売チャネル横断の顧客識別

正解は オ( a =(二), b =(五)) です。 1. 根本課題  a  について:表1より、ECサイトの顧客ID(数値型)と実店舗の店舗会員顧客ID(文字列型「S00...」)は別々の体系で管理されており、販売チャネル横断で顧客を一意に識別する共通キーが存在しません。電話番号のハイフンの有無などは単なるフォーマットの違い(技術的課題)に過ぎず、最も本質的な課題は「 EC サイトと実店舗それぞれで顧客を一意に識別する顧客ID が,販売チャネル横断の顧客識別子として機能しないこと 」(二)です。 2. 現実的な暫定対応  b  について:経営陣からの緊急のレポート要求に応えるため、既存データの中で突合キーとなり得る項目を検討します。 顧客名:同姓同名や入力表記のばらつきがあるため結合キーとして使用不可です(注記2)。 メールアドレス:店舗会員データにおいてNULL許容であり、実データでも未入力が存在するため、全件の購買実績を紐付けることができません。 電話番号:両チャネルとも「本人認証済み」「一意性制約あり」「NULL不可(全件入力済み)」です。ハイフンを除去して形式を揃えれば、同一顧客を高精度かつ漏れなく突合できます。したがって、現実的な暫定対応は「 一意性のある電話番号のデータ形式を整形し,電話番号をキーとして両データを結合して暫定的なレポートを作成すること 」(五)となります。

C 社は,一般消費者向けのEC サイトと実店舗の両方で商品を販売しており,それぞれで管理している顧客データを,データ基盤を使って統合し,分析することを目指している。当該分析はD さんが担当することになった。統合対象は,EC サイト顧客データと店舗会員データである。

D さんはまず,両データの仕様を理解するために,データカタログで関連データの定義を確認した。データカタログの検索結果を表1 に示す。

表1 データカタログの検索結果

項目

EC サイト顧客データ

店舗会員データ

データオーナー

・EC 事業部

・店舗運営部

顧客ID

・数値型

・顧客を一意に特定するキー

・制約:主キー(一意性制約あり,NULL 不可)

・文字列型

・顧客を一意に特定するキー

・制約:主キー(一意性制約あり,NULL 不可)

電話番号

・文字列型

・配送連絡用の本人認証済み携帯電話番号

・形式:999-9999-9999(9 は0~9 の半角数字を表す)

・制約:一意性制約あり,NULL 不可

・文字列型

・会員カード申込時の本人認証済み携帯電話番号

・形式:99999999999(9 は0~9 の半角数字を表す)

・制約:一意性制約あり,NULL 不可

メールアドレス

・文字列型

・顧客の会員登録時のメールアドレス

・制約:一意性制約あり,NULL 不可

・文字列型

・会員カード申込時のメールアドレス

・制約:一意性制約あり,NULL 許容

D さんは,個人情報を取り扱うために必要なC 社内の申請を提出し,実データを参照することの許可を得た。その上で,データプロファイリングを行い,両データの全件を対象に,各項目の未入力(NULL)の有無や値の傾向を確認した。

その結果,EC サイト顧客データはいずれの項目も未入力はなかった。一方で,店舗会員データは,電話番号は全てのレコードについて入力されていたものの,メールアドレスは一部のレコードが未入力となっていた。

その後,具体的なデータ形式の確認のために,EC サイト顧客データと店舗会員データから同一顧客と推測される実データを抽出し,突き合わせた結果を表2 に示す。

表2 実データのサンプルの調査結果

EC サイト顧客名 (参考情報)

EC サイト顧客ID

EC サイト電話番号

EC サイトメールアドレス

店舗会員顧客名 (参考情報)

店舗会員顧客ID

店舗会員電話番号

店舗会員メールアドレス

情報 一郎

10234

090-0000-0001

i.jouhou@example.jp

情報 一郎

S0010588

09000000001

i.jouhou@example.jp

基本 花子

25811

090-0000-0002

kihon.h@example.jp

基本 花子

S0023145

09000000002

kihon.h@example.jp

経済 次郎

31105

090-0000-0003

j.keizai@example.jp

経済 次郎

S0009872

09000000003

(NULL)

注記1 データプロファイリングの結果,電話番号のハイフンの有無やメールアドレスの記述形式については,実データの全てにおいて,表2 と同様の傾向であることが確認されている。

注記2 EC サイト顧客名及び店舗会員顧客名は,確認のために各ID にひも付く氏名情報を示したものであり,同姓同名の存在や手書き申込時の入力精度のばらつきなどがあることから,データ結合のキーとしては使用できないものとする。

経営陣から,優良顧客の特定のために,販売チャネル横断での顧客分析のレポートを至急作成するよう要求があった。D さんは,この要求に対して,このままでは同一顧客のEC サイトと店舗の購買実績をひも付けることができず,正確な優良顧客の特定ができないという根本的な課題が存在すると考えた。

D さんは,この状況における最も根本的な課題は a であると特定した。そして,経営陣からの緊急の要求に応えるための現実的な暫定対応として, b を検討した。

設問 本文中の a , b に入れる字句の組合せはどれか。解答群のうち,最も適切なものを選べ。

(一) EC サイト顧客データと店舗会員データにおいて,電話番号のデータ形式が統一されていないこと

(二) EC サイトと実店舗それぞれで顧客を一意に識別する顧客ID が,販売チャネル横断の顧客識別子として機能しないこと

(三) 店舗会員データのメールアドレスは,データカタログ上でNULL 許容とされており,実データにも未入力が含まれていること

(四) EC サイトと実店舗それぞれで一意性が保証されている顧客ID をそのまま結合キーとし,暫定的なレポートを作成すること

(五) 一意性のある電話番号のデータ形式を整形し,電話番号をキーとして両データを結合して暫定的なレポートを作成すること

(六) 一意性のあるメールアドレスをキーとして両データを結合し,暫定的なレポートを作成すること

出典データマネジメント試験(仮称)科目B サンプル問題 問2

 a 

 b 

ア

(一)

(四)

イ

(一)

(五)

ウ

(一)

(六)

エ

(二)

(四)

オ

(二)

(五)

カ

(二)

(六)

キ

(三)

(四)

ク

(三)

(五)

ケ

(三)

(六)